SARS-CoV-2 に対する mRNA ワクチンのブースト接種において
- 2022.01.27(Thu)
- No.3497
SARS-CoV-2 に対する mRNA ワクチンのブースト接種において、同種ワクチンでも異種ワクチンでも幅広い免疫原性反応が得られ、安全性に差はない。異種ワクチンのブーストでは、同種より強い免疫原性反応が得られる可能性がある 。
"Homologous and Heterologous Covid-19 Booster Vaccinations."
DOI: 10.1056/NEJMoa2116414
SARS-CoV-2 に対する mRNA ワクチンの2回接種を完了し、12週間以上経過した成人を対象に、ブースター接種において1-2回目と同種類ワクチン接種と異なるワクチン接種の場合の安全性、免疫原性を検討する、米国で実施された phase 1–2 open-label clinical trial。対象症例は458例で、mRNA-1273 (モデルナ社) ブースター群154例、Ad26.COV2.S (ジョンソンエンドジョンソン社) ブースター群150例、BNT162b2 (ファイザー社) ブースター群153例。
● 半数以上で接種部疼痛、倦怠感、頭痛、筋肉痛を認めたが、同種類ワクチン接種と異なるワクチン接種の場合で差はなかった。治験責任医師が治験ワクチンに関連すると判断した任意グレードの有害事象は、mRNA-1273 ブースター群154例中24例 (16%)、Ad26.COV2.S ブースター群150例中18例 (12%)、BNT162b2 ブースター群153例中22例 (14%) だった。
● すべてのブースター群で、SARS-CoV-2 スパイク蛋白 (S-2P) に対する幾何平均結合抗体価は、ブースター接種前と比較して接種後15日には5〜55倍に増加した。最も増加幅が大きかったのは、プライミング Ad26. COV2.S / ブースター mRNA-1273 で (55倍)、次いでプライミング Ad26. COV2.S / ブースター BNT162b2 だった (34倍)。
● SARS-CoV-2 D614G シュードウイルスに対する幾何平均中和抗体価は、ブースター接種前と比較して接種後15日には4〜73倍に増加した。最も増加幅が大きかったのは、プライミング Ad26. COV2.S / ブースター mRNA-1273 で (73倍)、次いでプライミング Ad26. COV2.S / ブースター BNT162b2 だった (36倍)。同種ブースターでの幾何平均中和抗体価はブースター接種前と比較して接種後15日に4〜20倍に増加、異種ブースターでは6〜73倍に増加した。
● プライミング Ad26. COV2.S / ブースター Ad26. COV2.S 例を除いて、スパイク特異的 CD8+ T 細胞の反応はブースター接種前と比較して接種後15日には増加した。ブースター接種前、プライミング Ad26. COV2.S 例においてスパイク特異的 CD8+ T 細胞反応性が最も高かった。プライミング mRNA-1273 あるいは BNT162b2 / ブースト Ad26. COV2.S 例では、ブースター接種前のスパイク特異的 CD8+ T 細胞反応が大幅に増加した。