アメリカのCOVID-19パンデミックにおいて
- 2021.02.10(Wed)
- No.3424
アメリカのCOVID-19パンデミックにおいて、人種はSARS-CoV-2検査陽性率と相関し、白人と比較して非白人の検査陽性率が高い。COVID-19の重症度や死亡では人種差は大きくない 。
"Racial Disparities in COVID-19 Testing and Outcomes. Retrospective Cohort Study in an Integrated Health System."
カリフォルニア州北部における18歳以上のKaiser Permanente保険システム加入者を対象に、2020年2月1日から同年3月31日までのSARS-CoV-2検査状況と結果、COVID-19による入院状況、重症度、転帰を人種別に後方視的に検討した。
● 対象は3,481,716例 (人種別内訳は白人42.0%、アフリカ系6.4%、ヒスパニック19.9%、アジア系18.6%、その他13.0% ) だった。SARS-CoV-2検査を受けたものは91,212例 (2.6%)、人種別では白人の2.7%、アフリカ系の3.2%、ヒスパニックの2.8%、アジア系の2.5%、その他の1.9%だった。
● 年齢、性別、多変量解析、併存疾患で補正した多変量解析
・SARS-CoV-2検査率に人種差はなく、白人と比較したオッズ比はアフリカ系が1.19 (95% CI 1.16 to 1.23)、ヒスパニックが1.14 (95% CI 1.12 to 1.16)、アジア系が0.98 ( 95% CI 0.97 to 1.00)、その他が0.79 (95% CI 0.77 to 0.81) だった。
・白人と比較して非白人の検査陽性率が高く、オッズ比はアフリカ系が2.01 (95% CI 1.75 to 2.31)、ヒスパニックが3.93 (95% CI 3.59 to 4.30)、アジア系が2.19 ( 95% CI 1.98 to 2.42)、その他が1.57 (95% CI 1.38 to 1.78) だった。
・白人と比較してその他を除く非白人の入院率が高く、オッズ比はアフリカ系が1.47 (95% CI 1.03 to 2.09)、ヒスパニックが1.42 (95% CI 1.11 to 1.82)、アジア系が1.47 (95% CI 1.13 to 1.92)、その他が1.03 (95% CI 0.72 to 1.46) だった。
・初回入院中死亡率に人種差はなく、白人と比較したオッズ比はアフリカ系が0.81 (95% CI 0.36 to 1.82)、ヒスパニックが1.16 (95% CI 0.62 to 2.16)、アジア系が1.00 ( 95% CI 0.52 to 1.96)、その他が0.81 (95% CI 0.29 to 2.25) だった。
● 結果への貢献割合
・SARS-CoV-2検査に最も貢献した因子は77.9%の合併症スコアおよび重症度スコアで、人種の貢献度は8.1%だった。
・検査陽性率に最も貢献した因子は80.3%の人種だった。
・入院に最も貢献した因子は57.4%の年齢で、人種の貢献度は4.5%だった。
・入院後の重症度に最も貢献した因子は77.2%の年齢で、人種の貢献度は12.8%だった。
・初回入院中死亡に最も貢献した因子は94.0%の年齢で、人種の貢献度は2.3%だった。