スタチンはアンスラサイクリンあるいはトラスツズマブの投与を
- 2021.01.07(Thu)
- No.3410
スタチンはアンスラサイクリンあるいはトラスツズマブの投与を受けた初期乳がん患者における心毒性を軽減する可能性あり 。
"Statin Exposure and Risk of Heart Failure After Anthracycline‐ or Trastuzumab‐Based Chemotherapy for Early Breast Cancer: A Propensity Score‒Matched Cohort Study."

カナダ・オンタリオ州のがん登録、健康保険登録、入院登録、救急受診登録、処方薬登録等をリンクし、アンスラサイクリンあるいはトラスツズマブの投与を受けた初期乳がん患者におけるスタチン処方の有無と心不全の関係を後向に検討した。対象は、2007年から2017年に初期乳がんと診断され、アンスラサイクリンあるいはトラスツズマブの投与を受けた、心不全の既往がない66歳以上の女性。アンスラサイクリン投与例とトラスツズマブ投与例を、スタチン処方の有無で傾向スコアマッチング法によるペアを作り、心不全リスク(心不全による入院あるいは救急外来受診)を比較した。
● スタチン処方有無別に、アンスラサイクリン投与例で666ペア、トラスツズマブ投与例で390ペアを作成した。年齢中央値はアンスラサイクリン投与例が69歳、トラスツズマブ投与例が71歳。
● 5年累積の心不全による入院あるいは救急外来受診率
・アンスラサイクリン投与例:スタチン処方あり群では1.2%、スタチン処方なし群では2.0%、ハザード比0.45 (95% CI 0.24–0.85; P = 0.01)、スタチン処方ありでの心不全リスクが低かった。
・トラスツズマブ投与例:スタチン処方あり群では2.7%、スタチン処方なし群では3.7%、ハザード比0.46 (95% CI 0.20–1.07; P = 0.07)、有意差はないがスタチン処方ありでの心不全リスクが低い傾向だった。
・トラスツズマブ投与例中、アンスラサイクリン投与歴あり:心不全ハザード比0.39 (95% CI 0.10–1.58; P = 0.19) で、有意差はなかった。
・トラスツズマブ投与例中、アンスラサイクリン投与歴なし:心不全ハザード比0.51 (95% CI 0.19–1.41; P = 0.19) で、有意差はなかった。