ホルモンレセプター陽性/HER2陰性/ステージ1?3B乳がんの術後療法
- 2021.01.06(Wed)
- No.3409
ホルモンレセプター陽性/HER2陰性/ステージ1?3B乳がんの術後療法において、標準的内分泌療法に1年間のS-1を追加することにより、invasive disease-free survivalが改善 。
"Adjuvant S-1 plus endocrine therapy for oestrogen receptor-positive, HER2-negative, primary breast cancer: a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3 trial."
ホルモンレセプター陽性/HER2陰性の乳がん術後療法において、内分泌療法にS-1追加意義を検討するmulticentre open-label randomised controlled phase 3 trialの初回中間解析。対象は20–75歳の病理学的ステージ1?3B乳がんとし、6因子(年齢 / リンパ節転移状況 / 術前後化学療法実施状況 / 術前内分泌療法実施状況 / ER陽性率 / 実施施設) で層別化の上、内分泌療法単独群と内分泌療法+S-1群に1:1で無作為化した。内分泌療法は標準治療(閉経前ではSERM±卵巣機能抑制、閉経後ではアロマターゼ阻害剤)を5年間とし、内分泌療法+S-1群では内分泌療法にS-1 (80–120mg1日2回、2週投与1週休薬、1年間継続) を追加した。主観察項目は、invasive disease-free survival (IDFS) とした。
● 対象は1,930例で、内分泌療法+S-1群957例、分泌療法単独群973例に無作為化された。背景因子は、年齢中央値 (内分泌療法+S-1群52歳 vs 内分泌療法単独群51歳)、リンパ節転移陽性 (64% vs 63%)、術前化学療法実施 (20% vs 20%)、術後化学療法実施 (35% vs 36%)、術前内分泌療法実施 (4% vs 4%)、ER 10%以上 (99% vs 99%)、乳房切除術 (51% vs 54%) だった。
● 観察期間中央値52.2ヶ月で、IDFSイベントが内分泌療法+S-1群で101例 (11%)、内分泌療法単独群で155例 (16%) に発生、ハザード比は0.63 (95% CI 0.49–0.81, p=0.0003) で内分泌療法+S-1の成績が良好だった。
● 全死亡が内分泌療法+S-1群で32例 (3%)、内分泌療法単独群で36例 (4%) に発生、ハザード比は0.90 (95% CI 0.56–1.44)、差はなかった。
● 高頻度グレード3以上有害事象は好中球減少症 (内分泌療法+S-1群8% vs 内分泌療法単独群1%)、下痢 (2% vs 0%)、 貧血 (2% vs <1%)、倦怠感 (<1% vs 0%) だった。重篤有害事象頻度は内分泌療法+S-1群3%、内分泌療法単独群1%だった。治療関連死亡が内分泌療法+S-1群で1例に発生し、死亡原因として肺塞栓症が疑われた。