抗SARS-CoV-2抗体を有する医療従事者では6ヶ月間の観察
- 2020.12.24(Thu)
- No.3407
抗SARS-CoV-2抗体を有する医療従事者では6ヶ月間の観察でSARS-CoV-2 再感染率が低い 。
"Antibody Status and Incidence of SARS-CoV-2 Infection in Health Care Workers."
DOI: 10.1056/NEJMoa2034545
オックスフォード大学関連病院4施設に勤務する全医療従事者を対象に、SARS-CoV-2血清抗体発現状況と感染状況を調べ、抗体発現と感染の関連を検討した。2020年4月27日からベースライン検査として抗SARS-CoV-2抗体 (スパイクIgG抗体および抗ヌクレオカプシドIgG抗体) の発現状況と鼻咽頭スワブPCR検査を開始し、2020年11月30日まで血清学的抗体検査を2ヶ月毎、PCR検査を2週毎に実施した。
● 抗スパイクIgG抗体発現状況別のSARS-CoV-2感染状況
・ベースラインで抗スパイクIgG抗体検査を実施したものは12,541例で、ベースライン抗体陰性が11,364例、ベースライン抗体陽性が1,177例、ベースライン抗体陰性で観察期間中陽転化が88例だった。
・ベースライン抗スパイクIgG抗体陰性11,364例におけるPCR検査陽性は223例 (リスク期間1万日あたり1.09)、陽転化例を含む抗スパイクIgG抗体陽性1,265例におけるPCR検査陽性は2例 (リスク期間1万日あたり0.13)、PCR検査陽性率比0.12 (95% CI 0.03 to 0.47; P=0.002)、抗スパイクIgG抗体陽性でのSARS-CoV-2感染リスクが低かった。
● 抗ヌクレオカプシドIgG抗体発現状況別のSARS-CoV-2感染状況
・ベースラインで抗ヌクレオカプシドIgG抗体検査を実施したものは12,666例で、ベースライン抗体陰性が11,543例、ベースライン抗体陽性が1,123例、ベースライン抗体陰性で観察期間中陽転化が49例だった。
・ベースライン抗ヌクレオカプシドIgG抗体陰性11,543例におけるPCR検査陽性は226例 (リスク期間1万日あたり1.10)、陽転化例を含む抗スパイクIgG抗体陽性1,172例におけるPCR検査陽性は2例 (リスク期間1万日あたり0.13)、PCR検査陽性率比0.11 (95% CI 0.03 to 0.45; P=0.002)、抗ヌクレオカプシドIgG抗体陽性でのSARS-CoV-2感染リスクが低かった。
● 抗スパイクIgG抗体および抗ヌクレオカプシドIgG抗体発現状況別のSARS-CoV-2感染状況
・ベースラインで抗スパイクIgG抗体と抗ヌクレオカプシドIgG抗体検査を実施したものは12,479例で、ベースラインで両抗体陰性が11,182例、ベースラインで両抗体陽性が980例、ベースラインで両抗体陰性で観察期間中にいずれかあるいは両抗体とも陽転化が68例だった。
・ベースラインで両抗体陰性11,182例におけるPCR検査陽性は218例 (リスク期間1万日あたり1.08)、陽転化例を含む両抗体陽性1,021例におけるPCR検査陽性は1例 (リスク期間1万日あたり0.07)、PCR検査陽性率比0.06 (95% CI 0.01 to 0.46)、両抗体陽性でのSARS-CoV-2感染リスクが低かった。