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言いたい放題乳腺外科コラム

不定期に当院の今日の乳がん・乳がん検診乳腺外科診療におけるコラムを掲載しております。

ホルモン治療前治療歴
  • 2019.05.04(Sat)
  • No.3007

ホルモン治療前治療歴を有する閉経後 / ホルモンレセプター陽性 / HER2陰性の進行再発乳がんに対して、exemestane とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 histone deacetylase (HDAC) inhibitor の併用は progression-free survival を延長 。

"Tucidinostat plus exemestane for postmenopausal patients with advanced, hormone receptor-positive breast cancer (ACE): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial."
https://www.thelancet.com/…/PIIS1470-2045(19)30164…/fulltext
https://doi.org/10.1016/S1470-2045(19)30164-0

エピジェネティック変異は乳がんの進行やホルモンモン療法抵抗性と相関している。HDAC 阻害剤は細胞周期停止・分化・細胞死により、エピジェネティック変異の調節や逆転を可能にすることが示されている。Tucidinostat は HDAC1 / HDAC2 / HDAC3 / HDAC10 に対する特異的阻害活性を有するベンズアミド系経口 HDAC 阻害剤であり、中国では治療抵抗性の末梢性T細胞リンパ腫に対する適応症を有している。先行研究により、ベンズアミド系 HDAC 阻害剤はナチュラルキラー細胞特異的および抗原特異的細胞傷害性T細胞の活性化よって腫瘍免疫を強化させることが示され、他の非特異的 HDAC 阻害剤とは区別される。
Chidamide and Exemestane (ACE) study は、閉経後ホルモンレセプター陽性 / HER2陰性で前ホルモン療法歴 (adjuvant setting を含む) を1つ以上有する進行再発乳がんを対象に、tucidinostat + exemestane 群と placebo + exemestane 群に2:1で無作為化して比較する randomised double-blind placebo-controlled phase 3 試験である。対象は、22カ所の中国のがんセンターで2015-2017年にエントリーされた365例。主観察項目は investigator-assessed progression-free survival (PFS) とした。
●365例は tucidinostat 群244例と placebo 群121例に無作為化された。
 tucidinostat 群 vs placebo 群
 ・年齢中央値:55歳 vs 55歳
 ・内臓転移例の割合:57% vs 51%
 ・内臓転移例の割合:21% vs 21%
 ・内臓転移例の割合:57% vs 51%
 ・進行再発病巣への前治療歴数
   0:43% vs 40%
   1:33% vs 32%
   2:21% vs 24%
   3:3% vs 3%
 ・前ホルモン療法有効例の割合:66% vs 69%
 ・進行再発病巣への前化学療法歴
   なし:6% vs 7%
   進行再発病巣への治療歴あり:28% vs 34%
   adjuvant 治療歴あり:66% vs 60%
●観察期間中央値は13.9ヶ月。Investigator-assessed PFS 中央値は tucidinostat 群で7.4ヶ月・placebo 群で3.8ヶ月、ハザード比は0.75 (95% CI 0.58–0.98; p=0.033)、tucidinostat 群の成績が有意に良好であった。
●副観察項目
 tucidinostat 群 vs placebo 群
 ・Objective response rate:18% vs 9% (p=0.026)
 ・Clinical benefit rate:47% vs 27% (p=0.036)
 ・奏効期間中央値:12.9ヶ月 vs 到達せず
●高頻度グレード3-4有害事象は好中球減少症 (tucidinostat 群で51%・placebo 群で2%)、血小板減少症 (tucidinostat 群で27%・placebo 群で2%)、白血球減少症 (tucidinostat 群で19%・placebo 群で2%) であった。重篤有害事象は tucidinostat 群21%・placebo 群6%で発生した。治療薬による死亡例はなかった。

ベルーガクリニックの知識

ベルーガクリニックは、このような国内でエビデンスを基づく適切な診療を行う全国トップクラスの専門医の知識を終結し、日々web会議を行っております。

長谷川善枝先生
弘前市立病院 乳腺外科科長
弘前大学医学部臨床教授
日本乳癌学会評議員
大地哲也先生
東京女子医科大病院
外科 助教
日本乳癌学会専門医
日本乳癌学会評議員
吉村吾郎先生
市立岸和田市民病院
乳腺外科 部長
日本乳癌学会評議員
原文堅先生
国立病院機構
四国がんセンター
乳腺科・化学療法科
がん薬物療法専門医
日本乳癌学会評議員
飛田陽先生
鹿児島大学 大学院
医歯学総合研究科
腫瘍学講座
病理学分野 准教授
日本乳癌学会評議員
柴田伸弘先生
宮崎大学医学部付属病院
がん診療部 助教
がん薬物療法専門医
日本乳癌学会専門医