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言いたい放題乳腺外科コラム

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腋窩リンパ節転移転移症例の治療
  • 2018.01.08(Mon)
  • No.2639

Monica Morrow先生による腋窩リンパ節転移転移症例の治療に関するレビュー 。

"Management of the Node-Positive Axilla in Breast Cancer in 2017. Selecting the Right Option."
https://jamanetwork.com/…/jamaonc…/article-abstract/2665748…

 腋窩リンパ節転移を有する乳がん患者の治療にはいくつかのオプションがあり、混乱している。過去100年以上にわたり腋窩リンパ節郭清 axillary lymph node dissection (ALND) が標準治療であったが、現在ではセンチネルリンパ節生検 sentinel lymph node biopsy (SLNB) 単独、SLNB+放射線治療、術前化学療法のすべてがエビデンスを有する代替手段となっている。本論文では、ALND の実施を最小限とするための患者選択についてレビューをおこなう。
 SLNB による腋窩 staging の適応は触診陰性で十分である。腋窩リンパ節触知しリンパ節転移が疑われる例では転移確定のために needle biopsy を実施すべきである。触知可能なリンパ節転移を有する症例においてALND を回避する唯一のオプションは術前薬物療法であるが、この議論は他に譲り、本論文では触診腋窩リンパ節転移陰性例に限ってレビューを行う。ALND 症例の選別に術前超音波検査 (± needle biopsy) をルーチン実施することに関しては議論が多い。触診に変わる ALND 適応例の選別方法に関する臨床試験では、USを用いたリンパ節形態診断で悪性と考えられる症例の70%においてALNDは不要であること、腋窩リンパ節needle biopsy陽性症例の33-59%においてALNDは不要であることが示されている。
 センチネルリンパ節転移が1−2個の症例に関してはいくつかのアプローチがある。乳房温存手術と全乳房照射 breast-conserving surgery with whole-breast irradiation (BCT) は、いくつかの無作為比較試験が合併症の少ない安全なALND代替方法であることを報告している。T1-2 / 臨床的腋窩リンパ節転移陰性 / BCT実施 / 1−2個のセンチネルリンパ節転移例を対象として、American College of Surgeons Oncology Group (ACOSOG) Z0011 trial ではALNDと非ALNDの比較が、AMAROS trial (After Mapping of the Axilla: Radiotherapy or Surgery) ではALNDと腋窩放射線治療の比較が行われた。いずれの試験でも5年リンパ節再発率、無再発生存率、全生存率に差は認めていない。ACOSOG Z0011の10年フォローアップでもこの結果は確認されている。AMAROS trialは腋窩放射線治療による局所コントロールと生存率はALNDと同等、リンパ浮腫リスクはALNDより低いことを報告したが、全例で腋窩放射線治療が必要とは言えない。それはACOSOG Z0011が腋窩無治療でも同等の良好な結果を報告しているからである。
 腋窩放射線治療が必要な患者の選別に関する高いエビデンスは存在しない。ACOSOG Z0011クライテリアに準じた連続793例のセンチネルリンパ節転移陽性単独症例を対象とした前向き試験で、リンパ節単独再発例はなく、5年全リンパ節再発率は1.4%であり、放射線治療実施例は21%に過ぎなかったことが報告されている。センチネルリンパ節転移陽性例に対する腋窩放射線治療の必要性に関する議論は、センチネルリンパ節転移陽性 / BCT実施例を対象に乳房照射単独と乳房+リンパ節領域照射の成績を比較したMA.206とEuropean Organisation for Research and Treatment of Cancer (EORTC) 22922-109257 studiesにより加熱することとなった。いずれの試験結果でも、リンパ節領域照射群で局所領域再発と遠隔転移の有意な減少と、1−2%の10年全生存率の減少が示され、全センチネルリンパ節転移例へのリンパ節領域照射を推奨する意見が存在する。リンパ節領域照射によるベネフィットはそれほど大きくなく、それなりの有害事象を伴うため、このアプローチに反対する意見もある。現在、センチネルリンパ節転移陽性で放射線治療が必要となるリンパ節の腫瘍量が多い症例を選別する目的で、センチネルリンパ節転移の被膜外浸潤、大きな腫瘍径、リンパ脈管侵襲が予測因子として用いられている。センチネルリンパ節転移1-2個 / BCT実施例ではいくつかのオプションが存在する一方、ACOSOG Z0011やAMAROSの適格例ではないセンチネルリンパ節転移3個以上ではALNDが必要となっている。
 乳房切除例でセンチネルリンパ節転移陽性の場合はALNDの適応となる。このような症例はACOSOG Z0011には含まれておらず、AMAROSでは248例に過ぎず、放射線治療による領域コントロールの重要性は明らかになっていない。乳房切除 / センチネルリンパ節転移陽性例に対してALNDが不要な二つの例外がある。乳房切除例を含むセンチネルリンパ節微小転移例を対象にALNDと無治療の成績を無作為比較する二つの試験があり、いずれの試験でも両群の無再発生存率に差はなく、微小転移例ではたとえ非照射でもALNDの必要性はないことが示唆される。AMAROS trialは乳房とリンパ節領域照射の成績はALNDと同等であることを報告した。これは、非センチネルリンパ節転移を含めた転移リンパ節個数の情報が無くても、センチネルリンパ節転移と他の腫瘍因子を併せた評価で、ALNDを省略して乳房切除後放射線治療の適応としても十分であることを示している。このアプローチの限界として、乳房切除時には腫瘍の病理学的情報が限定されるため、完全な病理データが揃うまでALNDの必要性決定が先延ばしになり、必要となった場合は追加手術が必要となることが挙げられる。
 手術に先行して腋窩リンパ節転移の頻度を減らす別の代替策に術前化学療法がある。臨床的腋窩リンパ節転移陰性 / BCT実施例では、ホルモンレセプターやHER2状況に関わらず術前化学療法はALNDの必要性を減じさせないことが報告されている。反対に、乳房切除が実施されたHER2陽性あるいはトリプルネガティブ乳がん1,980例を対象とした後ろ向き解析では、術前化学療法はALND必要例を減少させたことが示されている (odds ratio [OR] 0.19 for HER2-positive cancer; OR, 0.25 for triple-negative cancer)。
 腋窩リンパ節治療戦略で最も重要なゴールはALNDの実施を減らすことである。このゴールへの最適なアプローチは乳房手術方法とホルモンレセプターおよびHER状況に依存しているが、ALNDはリンパ節転移陽性例に対する標準治療ではないことを認識する必要がある。

ベルーガクリニックの知識

ベルーガクリニックは、このような国内でエビデンスを基づく適切な診療を行う全国トップクラスの専門医の知識を終結し、日々web会議を行っております。

長谷川善枝先生
弘前市立病院 乳腺外科科長
弘前大学医学部臨床教授
日本乳癌学会評議員
大地哲也先生
東京女子医科大病院
外科 助教
日本乳癌学会専門医
日本乳癌学会評議員
吉村吾郎先生
市立岸和田市民病院
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原文堅先生
国立病院機構
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乳腺科・化学療法科
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日本乳癌学会評議員
飛田陽先生
鹿児島大学 大学院
医歯学総合研究科
腫瘍学講座
病理学分野 准教授
日本乳癌学会評議員
柴田伸弘先生
宮崎大学医学部付属病院
がん診療部 助教
がん薬物療法専門医
日本乳癌学会専門医