ピルは乳癌リスクを増加させる可能性がある。
- 2009.10.06(Tue)
- No.9
婦人科で経口避妊薬(ピル)は乳癌には関係ないと言われたという方が未だにいらっしゃいます。これは非常に間違った見解なので正しい知識を理解される必要があります。乳腺診療ガイドライン(2008年版)には『経口避妊薬使用は乳癌のリスクを増加される可能性がある。』と明記されています。
?r?n 系統立った文献検索でメタアナリシス3件の報告からいずれも相対リスク約1.2と言でリスク増加が認められています。経口避妊薬は乳癌発病のリスクを増加させるという結論とされ、相対リスク1.1〜1.6と言う事です。
経口避妊薬の中止した場合は、中止後10年以上経過すればリスクの増加は認められなくなるという報告もあるが、中止後5年以上経過しても使用期間によるリスク増加の影響は残るとする報告もあります。初回妊娠より前の使用でリスクが上昇するという報告もあります。また、日本人も含めアジア系住人がアメリカに移住した場合に乳癌発病リスク増加が認めており、同時に経口避妊薬の使用も増加しています。実際、当院でもアメリカでピル使用歴があり、帰国後の検診で乳癌と診断された方がいらしゃいます。実際診療の中もピル使用者やピル使用経験の方の乳癌は多いと思われます。低用量ピルだから問題ないのではありません。ピルはエストロゲンとプロゲステロンの混合剤で共に乳癌を発生の原因になります。このガイドラインがある以上は、正統派の乳腺診療を行う医師はピルを安易にピルの使用を認める事はありません。
但し、ピル使用に関してはメリットもあり、メリットとこのようなデメリットの差を考慮してどちらが利益があるかを選択する必要があると思います。また、ピル使用の際は、必須としてマンモグラフィーと乳腺エコー併用の乳がん検診を年に1回は受ける事が必要です。